城南電化協同組合 (東糀谷めっきセンター)
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めっきとは



1.素材のさびや腐食

 さびや腐食を起こしやすい金属素材としては、一般に鉄が挙げられるが、これらの金属は、大気中の酸素、硫黄、窒素、水蒸気等の腐食を発生させる要因によって、金属そのものの持つ特性と不純物、電気化学的反応等の結果さびや腐食を生じる。
 素材の腐食は必ずや一様で均一なものでないが、これは素材の表面状態により異なり、空気中の湿気や汚れを付着しやすい凹凸や傷の存在、いく種かの金属との合金の場合素材内での結晶のばらつき(偏析等)、金属間化合物により局部電池をつくり腐食等の化学的反応性の高い場所が存在すること等が起因する。

       

2.卑な金属と貴な金属

 単体金属には化学的に活性の高い(イオン化傾向の高い)金属(卑な金属)と安定な(イオン化傾向の低い)金属(貴な金属)があり貴な金属ほどさびや腐食に強い金属と言える、これらの卑な金属にはマグネシウム、アルミニュウム、亜鉛等が、また貴な金属には白金、金、ロジウムなどの貴金属が挙げられる。
 亜鉛を希塩酸に溶解させると亜鉛は水素ガスを発生し溶解する、化学反応式は次のようになる。
 
                       Zn+2HCL→ZnCl2+H2         Zn+2H+→Zn2++H2 

   亜鉛Znは電子を放出しZn2+となり水溶液中の水素H+は電子を受け取り水素ガスとなる。 上記のように金属は、電子を放出し陽イオンになる性質があり、このイオンになろうとする性質をイオン化傾向と呼ぶ。

   参考に代表的な金属のイオン化傾向を下記に挙げる。

イオン化傾向   大←---------------------------------------------------------------→小
金属(元素記号)   Li  K  Ca  Na  Mg  Al  Mn  Zn  Cr  Fe  Cd  Co  Ni  Sn  Pb  (H)  Sb  Bi  Cu  Ag  Pt  Au  Rh



3.めっきによる防食

 さびや腐食を発生しやすい素材の防食には、その要因から遮断するため、素材よりも貴な金属をめっきする方法と、亜鉛やカドミウムめっきのようにこれらのめっき金属が犠牲アノードとして働き素材を保護することによりさびや腐食から守る方法、また、強い酸に浸漬することによって不溶性の酸化膜を生成させる不動体化処理(パシベーション)、表面硬化によって対摩耗性や耐食性をもたせる浸炭・窒化処理がある。
 イオン化傾向の大きい卑な金属上へイオン化傾向の小さな貴な金属をめっきする場合ピンホール等の欠陥が存在する場合ピンホール部の腐食電位が高いためイオン化傾向の近い素材/めっき金属同士に比べ腐食しやすい。
 めっきは目的の機能・特性を付加させるために行うため様々な材料に色々なめっきを要求される場合が多い、これら耐食性において不利な組み合わせに対応するため素材の選定、下地めっきの選定、多層めっき、複合めっき、めっき厚を厚くする、耐食性の高い化成皮膜、塗装の適用、研磨、封孔処理等を行い対応が行われている。 ただし素材の種類、めっき種等の選定、めっき厚、環境、異種金属との接合、仕様等によりその防食能力が異なることに注意する必要があり、製品の組み込み、使用方法を含めた検討も必要となる場合もある。
  めっき以外の表面処理としては、化成処理(リン酸塩皮膜、クロメート処理を含む)、アルマイト、アロジン、タフトライド処理等がある。

4.用途別めっき種参考例

   

  装飾品・・・・・・ニッケル、金、銀、ロジウム、クロム 
  建築資材・・・・・亜鉛 (溶融亜鉛)、ニッケル、クロム
  航空機・船舶・・・カドミウム、亜鉛、亜鉛ニッケル合金、アロジン、その他化成処理
  (宇宙・防衛)   金、銀、ニッケル、無電解ニッケル、すず、はんだ 
  自動車・・・・・・クロム、ニッケル(注)、亜鉛、亜鉛ニッケル
  機械・精密部品・・金、銀、すず、鉛、はんだ、ニッケル、銅、亜鉛・クロメート
  コンピュータ・電子部品・・・金、銀、ロジウム、パラジウム 

                     

注:  (下地に銅、ニッケル等を使用する場合が多く通常は3層めっき等が行なわれている)
 ニッケルには、無電解ニッケルが含まれ、無電解ニッケルの方が耐海水性に対してはすぐれている。
塗装下地や防食目的で行われる亜鉛やカドミウムめっきへは通常クロメート処理、化成処理等が行われるが最近は環境への配慮から有害物とされるカドミウムめっきは一部の航空機、防衛関連部品を除き代替物質への移行へ、また、RoHS、ELV、WEEE、REACH等の環境規制への対応として、Cr+6クロメートからCr+3クロメートへの切替、鉛を安定剤としないビスマス等を使用した無電解ニッケルめっき等がヨーロッパ向け製品を主に使用されてきているが耐食性、耐変色性はメーカにより異なるが一般に従来型より劣るようだ。


5.腐食性要因に対する耐腐食性のめっき例

        

   海水・・・・・・・・・カドミウム、無電解ニッケル、金、溶融亜鉛
   亜硫酸ガス・・・・・・すず、亜鉛、はんだ
   亜硝酸ガス・・・・・・金
   硫化水素・・・・・・・金、はんだ、すず、ロジウム、亜鉛
   塩素ガス・・・・・・・銀、ニッケル、はんだ
   アンモニア・・・・・・銀、ニッケル、すず、亜鉛   
 
注: 製品の耐食性(耐薬品性)は、表面状態(ピンホール、クラックの有無)、めっき合金組成、素材種、
  下地めっき種(有無)等により異なる。
  化学的、電気化学的性質の似た金属は同種類の薬品に影響をうけるものが多い。




        

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