城南電化協同組合 (東糀谷めっきセンター)
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めっきとは



1.めっき工程と表面処理薬品

 表面処理(めっき)で使用されている主な薬品・材料には、目的のめっき金属を含有する金属含有薬品と金属の溶解、液中での安定性、めっき効率、品質を維持するために必要な補助薬品、また確実な密着性の確保、均一な外観を得るために素材の脱脂、活性化、洗浄等を行うための前処理薬品、めっき後の着色、耐食性向上等を目的とした付加機能処理のための薬品、最終洗浄において汚れ等を防止し乾燥を促進させるための薬品等がある。
 目的別に分類するなら、前処理、めっき、後処理、その他に分かれる。さらに細かく分けると酸系、アルカリ系、中性系、有機・無機系、に分類され、さらにその状態を固体、液体、気体に分けることができるがほとんどは扱いやすい液体として使用される。
 これらの薬品・材料は単独で使用されることもあるがほとんどは目的・その特性を考慮し他の薬品等と一緒に混合薬品・材料として使用される。 

  1.1 めっき工程
     めっき工程は主に次のような流れになっている。
   
(例:亜鉛めっき、  注意:めっき方法、めっき種、素材により異なる)

 

   

前処理

めっき

後処理

   

 

  予備脱脂   脱脂   活性化   めっき   クロメート処理   最終洗浄   乾燥  

めっき対象品

鉄素材

主に有機溶剤洗浄、エマルジョン系等

浸漬又は電解(陰極、陽極、PR)によるアルカリ及び酸による脱脂

浸漬又は電解主に酸による活性化

亜鉛めっきにはシアン化浴、ジンケート浴、酸性欲がある

亜鉛めっきの場合は一般に耐食性の向上と外観を目的に光沢、有色、黒色、緑色クロメートが行われる

クロメート後仕上げ処理を行う場合と市水による洗浄後純水洗を行う場合がある

一般にクロメート処理品は60℃前後で乾燥、処理薬品によっては90℃以上の熱乾燥を行なう場合もある

めっき完了

 

 

 

 

 

               

注: 上記工程では工程間の水洗工程、中和工程は省略してある



   1.2 基本薬品と材料
    めっき工程で使用される主な基本薬品・材料等の一例を次の表に示す。

           

 

  前処理薬品 めっき(処理薬品) 後処理薬品
酸 系

塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、燐酸、酢酸、クロム酸、クエン酸等

   

(錆び落とし、脱脂、エッチング、化学研磨、スケール除去、活性化、中和等)

クロムめっき液(無水クロム酸)、硫酸銅めっき液(硫酸銅)、ニッケルめっき液(硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硼酸)、酸性無電解ニッケルめっき(硫酸ニッケル)、酸性錫めっき(硫酸第一錫)等

   

金属塩の補充、pH調整、物性改善等

塩酸、硫酸、クロム酸、クエン酸、クロメート処理剤、化成処理剤、等

    

(中和、洗浄、再活性化、着色、耐食性向上)

アルカリ系

水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、グルコン酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、炭酸ナトリウム等

   

(脱脂、エッチング、中和、スケール除去等)

シアン化銅めっき(シアン化第一銅シアン化ナトリウム)、ピロ燐酸銅めっき(ピロ燐酸銅、ピロ燐酸カリウム、)、シアン化亜鉛めっき(シアン化亜鉛、シアン化ナトリウム)、シアン化金めっき(シアン化金カリウム)、シアン化銀めっき(シアン化銀)、アルカリ性錫めっき(錫酸ナトリウム)、アルカリ無電解銅めっき(水酸化ナトリウム)等

   

金属塩の補充、pH調整、物性改善等

苛性ソーダ、苛性カリ、シアン化ソーダ、シアン化カリ、グルコン酸ソーダ化成処理剤、等

    

(中和、洗浄、再活性化、着色、耐食性向上)

中 性 系
*
界面活性剤

(界面活性剤)

アニオン系トリメチルベンジルアンモニュウムクロライド、ノニオン系ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル等、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等中性脱脂剤、エマルジョン系脱脂剤等

   

(脱脂、ぬれ性付与)

  

  

  

中性浴金めっき、中性浴銀めっき、中性浴無電解ニッケルめっき等

   

酸系やアルカリ系薬品等との組み合わせによりpHが中性にコントロールされるもの。

また、左記界面活性剤は、ピット防止、物性改善を目的とするため添加される。

乾燥促進、防錆として一部使用

有機系

塩素系(トリクロロエチレン)、炭化水素系(アセトン、トルエン、イソプロピルアルコール、MEK、メタノール等)

    

(脱脂、エッチング、塗装剥離等)

トリエタノールアミン、サッカリン、ブチン、ナフタリンスルホン酸塩、チオ尿素、安息香酸、クエン酸塩、ぶどう糖、デキストリン、ゼラチン等

   

物性改善(光沢(平滑性)、展性・延性、硬度等)を目的とする有機添加剤等

トリクロロエチレン、アセトン、トルエン、イソプロピルアルコール、MEK、メタノール等

   

(洗浄、乾燥促進)

無機系

無機研磨剤(バフ研磨、サンドブラスト、液体ホーニング等に使用されるアルミナ、二酸化珪素、炭化珪素、酸化クロム酸化鉄等)

   

(錆び落とし、脱脂、エッチング、スケール除去、活性化、表面粗化等)

 

硫黄化合物(チオシアン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム等)及び金属化合物(亜セレン酸ナトリウム、亜鉛酸ナトリウム、コバルト、ビスマス、モリブデン、ニッケル、リチウム、アンチモン等)

   

物性改善(光沢(平滑性)、展性・延性、硬度等)を目的とする無機添加剤等

無機研磨剤(バフ研磨、サンドブラスト、液体ホーニング等に使用されるアルミナ、二酸化珪素、炭化珪素、酸化クロム酸化鉄等)

  

(つやだし(平滑性)、梨地、ヘアライン、表面粗化等)

   

        その他          

  めっき液中の金属等の補充に使用される材料

適用めっき液

陽極金属板

電解銅(Cu99.9%以上)

無酸素銅(酸素や酸化物が除去された電解銅)

含りん銅(P0.02〜0.05%)

電気ニッケル(Ni99.9%以上)

カーボナイズドニッケル、デポラライズドニッケル、サルファーニッケル.

亜鉛(Zn99.9%以上)

銀(Ag99.99%以上)

鉛-アンチモン(Sb3〜5%)

錫(Sn99.99%以上)

錫-鉛(Sn:Pbが6:1又は9:1等いろいろな比率のものあり)

シアン化銅、硫酸銅めっき

ピロ燐酸銅めっき

硫酸銅、硼弗化銅めっき

ニッケルめっき

ニッケルめっき

亜鉛めっき

銀めっき

クロムめっき

錫めっき

半田めっき

金属補充剤

シアン化金カリウム

シアン化銀

その他金属塩類(ニッケル、銅、銀等) 

(注: 金めっきはその陽極金属板が高価であり金属の補充には金属塩薬品が使用される。金めっきは、一般にはチタン白金めっき又は白金クラッドした不溶性陽極が使用され、銀めっき(高濃度浴)にはステンレスも使用される。)

酸性金、シアン化金めっき

シアン化銀めっき

無電解めっきのような陽極金属板を使用しないめっきの補充

 

 

複合素材

テフロン、窒化ホウ素BN、アルミナ、SiO2、ダイヤモンド等

    

(金属ではないが硬さ、耐磨耗性、すべりをよくするために添加される素材でめっきマトリックス中に共析させる)

電気及び無電解ニッケルめっき等の複合(コンポジット)めっき

   

剥離剤

塗装剥離、

マスキング剥離

レジスト剥離剤

金属剥離剤 (剥離する金属及び素材によって使用する液が異なる)

 (塗装やめっきを付けない部分を樹脂やテープで覆ったマスキング部の剥離やめっき不具合品のめっき剥離に使用する薬剤)

トリクロロエチレン、トルエン、等の有機溶剤

有機溶剤、炭酸ソーダ、苛性ソーダ等

アルカリタイプ(シアン化ソーダ、キレート剤、酸化剤、苛性カリ、腐食抑制剤等の組み合わせ)

酸性タイプ(硫酸、酸化剤、キレート剤、腐食抑制剤等の組み合わせ)

マスキング材

マスキング剤(耐薬品性樹脂・塗料)

マスキングテープ(アクリル・テフロン・PVC・PP・アルミ・鉛等)

マスキングジク(金属・プラスチック・ゴム等)

レジスト(耐酸、耐アルカリインク、半田、錫等)

めっきやエッチング等において部分的に保護したい場所に使用される材料

 


2. 表面処理薬品と顧客のニーズ

 めっき工場で実際に使用される表面処理薬品や材料の購入は、材料商社を通して薬品メーカーや材料メーカーから購入される。数十年以上前はめっき屋が基本薬品を購入し自らめっき液等を調整し、独自の薬品をめっきに使用していたが、現在では様々な特徴、性能を持った薬品や材料が各メーカより販売されめっき液の調整・管理がだれにでも簡単にできるようになった。 しかしながら、簡単になった分、若者の技能や、開発力の低下が日本の産業全体の脆弱化につながることが懸念される。 
 めっきを必要としている顧客のニーズに直接対応するのはめっき屋であり薬品メーカー等の情報は選択肢の一つでしかない。 顧客のニーズに応えるには薬品・材料メーカーとの連携体制が必要であると同時に古き先輩に倣いその目的・機能を得られる薬品・工程・設備の自らの検討を行っていく姿勢が必要であると言える。


3. 表面処理薬品と環境規制

 現在のすべての産業における共通の課題に環境問題が上げられる、特にヨーロッパ等に輸出を行っている車、家電関連においては、ELV、WEEE、RoHS、REACH等の規制により一部の有害物質の使用が制限され、表面処理業界においても使用薬品・材料の変更、検討が行われている。
 表面処理業界で問題となっている主な薬品には、オゾン層破壊につながるフロンやトリクロロエタン等の有機溶剤があるが現在は使用されていない、2006年7月から実施されたRoHS有害物質規制ではカドミウム、鉛、六価クロム、水銀、PBB、PBDEがあり、輸出製品に携わる日本の大手企業では2004年ごろからこれら有害物質の使用を禁止し、関連企業の対応もほぼ完了している。 対応としては、有害物質の完全使用廃止、代替物質への変更が検討され、表面処理業界においても自動車関係では六価クロム含有薬品から三価クロム含有薬品への切り替え等が一早く行われている。
その後規制対象となったPFOS(パーフルオロオクタンスルホンサン)類、REACH規制(高懸念物質15)等の使用調査、対応が要求されてきております。

                

4.表面処理薬品・材料の購入

 実際に使用される表面処理薬品・材料の種類、名称、メーカー等についてはめっき薬品・材料の販売商社から情報を入手できる。当城南電化協同組合員" 三明化成" のホームページ(www.sunmay.co.jp/)を参照下さい

 

 城南電化情報委員会






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