1. かわった素材の表面処理
表面処理において、かわった素材としては、生活の中でよく見かける発泡スチロール・木・紙・石膏・貝殻・天然石等の素材は子供たちの工作・夏休みの宿題などでよく活躍する材料であるが子供たちは元からの色、形を利用する他、色々な形を作り又は貼り合わせてできた作品に色を塗り思い思いのイメージを形にしていく。
このような方法は、ものづくりに対する目的に最も一般的な方法として日常の産業においても行われており表面の色・光沢等外観に又、導電性・硬さ・接合性・防食等機能目的において表面処理技術(塗装・めっき・表面改質等)が利用されている。
2.素材とめっき
2.1 発泡スチロール
発泡スチロールは、軽く、水に浮き加工がしやすい材料であるがこれらの特性を利用し表面に導電性を与えることにより新たな機能を付加することが可能である。 導電性、調査・試験・研究情報収集(風、液体等に浮き流れる事を利用)、触媒、空調、保温・保冷システム、ろ過システム、抗菌・防臭、排気・廃水処理、環境技術への模索が上げられる。
発泡スチロールへのめっき(金、Ni、銅)

2.2 木 (Wood)
木は古代より最も加工しやすい身近な素材として道具・住居・装身具・美術品等に利用されてきた、古代における木への加工・表面処理は、土絵の具、樹液(うるし)等による着色、補強、防水等の他、工芸品、仏像に代表される漆塗り金箔細工、銅張り品水銀アマルガム法による金めっきが挙げられる。
現在ではさまざまな色、表面状態(木目、石、砂、金属調)、の塗料、樹脂が開発され利用されているが、めっきにおいては公害問題から有害な水銀を使用することはなく導電性塗料(カーボン、銀等を含む)、めっき可能な樹脂・プラスチック(ABS樹脂、PVC等及びエッチングフィラー混合樹脂等)の加工やコーティング後表面調整、触媒活性化処理を行い電気めっきや無電解めっき法によってめっきを行うことができる。
木そのものへのめっきは、吸水性素材、油脂性素材では処理薬品の素材への浸透、撥水、また膨張、収縮等の変形により困難な場合が多い。

2.3 石膏
石膏は硫酸カルシウム等からなる多孔性、吸湿性素材で建築材料、耐火素材、美
術工芸品等に利用されている。
石膏には塗装・壁紙・化粧素材等の貼り合せは行われても、特殊な用途での導電性目的以外にはめっきを行うことは極めて少ない。石膏へのめっきは、木同様素材への処理液浸透により湿式法から薬品によるめっきは困難な場合が多く、乾式法では真空蒸着、スパッタリング等、湿式法では光触媒活性化法、導電性塗料(カーボン、銀等を含む)、めっき可能な樹脂・プラスチック(ABS樹脂、PVC等及びエッチングフィラー混合樹脂等)の表面加工やコーティング後表面調整、エッチング、触媒活性化処理を行い電気めっきや無電解めっき法によってめっきを行うことができる。
2.4 貝殻
貝殻は、炭酸カルシウム等からなる層状構造の物質で貝の種類によってさまざまな色、模様、形があり、貝殻の持つ自然の美しさを用い装飾品、ボタン等に使用されている。貝殻への表面処理としては、装飾品としてのスプレーやはけ塗り塗装、乾式法でのスパッタリングや真空蒸着後クリアー塗装を行う方法、湿式法では炭酸カルシウムが酸に溶解しやすいため適切な前処理条件のもと無電解めっきが又、光触媒活性化法、導電性塗料(カーボン、銀等を含む)、めっき可能な樹脂・プラスチック(ABS樹脂、PVC等及びエッチングフィラー混合樹脂等)の表面加工やコーティング後表面調整、エッチング、触媒活性化処理を行い電気めっきや無電解めっき法によってめっきを行うことができる。
2.5 昆虫・植物
昆虫や植物は、生物であるため生体内に水分を持っている、また表面も、タンパク質、油脂、有機物、無機物等さまざまな物質によって構成されており、その構造も複雑であり時には発水性を持ちめっき等の表面処理には適さない場合が多い。 塗装においては厚くコーティングすれば一時的な形状保存は可能であるがこれらにめっきを行うには水分の除去、めっき可能な表面への改質が必要となる。 水分の除去(乾燥)には、自然乾燥法では、昆虫は昆虫採取のセット等による標本作りの要領でサンプルを作成できる、また、植物は、ドライフラワーの作成方法等により水分を除去する等が利用できるが、ドライフラワーは本来の自然の色、形を損なってしまう。 そこで強制的には、真空乾燥や真空乾燥と真空樹脂含浸を利用することにより、乾燥とめっきしやすい表面の作成を行うことができる、生花においても導電性樹脂やカーボンを表面にコーティングさせ直接無電解めっき法で厚くめっきする方法もある。 乾式めっき(スパッタリング、真空蒸着等)でも乾燥された状態では密着のよいめつきが可能であるが、いずれの方法も手間とコストがかかり、失敗も多いことからあくまでも趣味の域でしかない。下の写真は、どんぐりとカミキリムシにイオンスパッタリング法で金めっきを行ったものである。カミキリムシは玉虫色の外観になった。

2.6 天然石(人造宝石等)
天然石は、石英(SiO2)、長石、雲母、角閃石、輝石、カンラン石等造岩鉱物の他宝石となるダイヤモンド(炭素C)、ルビー・サファイア(アルミナAl203)、水晶(石英の結晶体SiO2)等その組成成分はさまざまである。
宝石でない天然石そのものに装飾目的で塗装等により色をつけることはあるが金属をめっきすることはあまり聞かない。
しかし宝石に用いられる天然石(ダイヤモンド等)には、その美しさ、希少価値の他、硬い性質を利用し逆にめっきマトリックス中に分散共析(コンポジットめっき)させ硬い表面を作る目的に用いられている。
また現在では人造宝石・単結晶等の製造技術が発展し工具、半導体・エネルギー・航空・宇宙、通信機器産業用に高純度の結晶体、粉体が作られ利用されている(ダイヤモンドパウダー、DLC膜(ダイヤモンドライクカーボン)、シリコンウエハー、サファイアガラス・ロッド、水晶発信機等)
また、耐熱性、耐衝撃性、透明性、屈折率の利用、微量に含まれる他元素の励起エネルギーを利用した技術(レーザ発信機等)が開発され金属との接合、光の反射板等の目的で熱融着、乾式(スパッタリング、真空蒸着等)、湿式めっき(無電解めっき等)が利用されている。

城南電化情報委員会
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